コラムNo,033|収益物件の査定方法
収益から計算する査定方法
一般的な不動産の査定方法としては原価法や取引事例比較法などが用いられますが、
賃貸マンションやアパートなどの収益物件に関しては、
収益還元法を用いるのが最も合理的と考えられ、実際にも多く利用されています。
この方法は当該収益物件が将来にわたって生み出す地代や家賃収入など、
収益の総合計を予測して、これを査定額の基本とする方法です。
細かく分けると収益還元法にも、直接還元法とDCF法の2種類があります。
直接還元法は一定期間(普通は1年間)の収益額を利回りで割り、
100を掛けて将来の収益総額を予測します。
ちょうど利回りの計算方法と逆になります。
DCF法は賃貸期間中の収益額と賃貸終了後の売却額を、
現在の価値に換算し、それらを合計して査定額を求める方法です。
金利や物価の変動を考慮に入れているため、より詳細に予測できる評価方法ですが、
それだけ専門性が高く計算が複雑になり、インフレ率などの予想も難しいのが特徴です。
査定のうえで注意すること
収益物件の査定は一般には直接還元法とDCF法を組み合わせて行なわれます。
しかしいずれの方法を採るにしても、注意しておかなければいけない点があります。
それは予測の基礎になる表面利回りの妥当性です。
これが確保されないと、予測そのものが無意味になってしまいます。
収益還元法では過去の運用実績を基に利回りを計算するので、
ある程度の信頼性を確保することは可能です。
ただ当然のことですが収益物件の利回りは、建物の設備や構造や築年数だけでなく、
地域性によっても相場が変わります。
周辺の交通事情や開発計画によっては、空室リスクなどが変動し、
将来の家賃収入に大きな影響が及ばないとも限りません。
ですから収益物件に関する多くの情報に通じ、確かな相場観を持っていることが、
正確な査定を行なう上で重要になります。
不動産会社の中でも収益物件に特化し、それらの情報に精通しているところでは、
より専門的な査定が可能になると言えるでしょう。
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