収益物件売却時の土地建物按分
収益物件の購入時に「建物価格を多くしたい」という希望を出されたことがある方も多いと思いますが
今回はこれを言われる方側の話です。
不動産の売買は収益物件に限らず、土地価格、建物価格を分けるのが普通です。
見慣れない漢字ですが、按分といいます。
冒頭の「建物価格を多くしたい」は減価償却を多く取りたいなどの理由でこういった要望が出てくるわけですが
売主側にはもちろん特にメリットはありません。
この按分の調整で問題になるのが消費税です。
税法では土地建物の売買の場合、建物には消費税が課されることになっています。
ただし、これは消費税を納税しなければならない「消費税課税事業者」に該当している場合だけです。
この課税事業者になるかどうかのジャッジは課税売上高で見られます。
1000万を超える課税売上高がある場合、その翌々年度
つまり2018年度の課税売上高が1000万を超える場合、2020年度の申告は消費税を納税しなければならなくなります。
ちなみにこれは売買価格ではなく課税売上高です。
従って土地建物の売買の場合、課税売上になるのは建物だけになります。
例えば課税事業者が売主で税込5000万円の物件を土地2000万円、建物3000万円とした場合、
3000万円は内税ですので逆算して2,222,222円を消費税として納税する必要がでてきます。
不動産は高額なものですので消費税もばかにならない金額になりますね。
ただ、だからといって建物の価格を極端に小さくしてしまうと
多くの投資家さんからはキャッシュフローを出しづらい物件と見られてしまいます。
ちなみに個人売買であればほかの経費とは分離して考えなければならないので
法人の方がその場合の節税方法としてはやりようがあります。
次に課税事業者でない場合、消費税は当然かかりません。
建物の割合を大きく設定されたとしても特段負担金が多くなることもないです。
従って買い手側も建物価格を大きくすることができれば
いくらか税上のアドバンテージを得られる、という点で売却時にもアピールができます。
ただし、ご注意いただきたいのは課税売上が1000万円を超えると課税事業者でない場合も
翌々年は課税事業者になるということです。
今後のことを考えれば今年が消費税課税年度でなくとも按分の調整をした方が良い場合もあります。
富士企画ではその時売れればよい、買えればよい、という考えで進めるのではなく
その先を見据えたアドバイスをするようにスタッフ全員心掛けております。
収益不動産の売却は全てケースバイケースですのでまず個別にお話しして頂ければと思います。
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